告訴と告訴状の書き方シリーズ③

告訴とは、被害者などが捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める手続きです。

このコラムシリーズでは、告訴の重要性とその手続きについて、被害者の視点から詳しく解説していきます。

第3回目となる今回は、告訴と告訴状の作成で問題となりやすい時間的制約について、ご説明します。刑事告訴を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

犯人を刑事裁判にかけるために告訴が必要となる犯罪の種類を親告罪といいます。

親告罪の告訴については一部の例外を除いて、犯人を知ってから6カ月以内に行う必要があります。

この告訴可能な6カ月の期間のことを告訴期間といいます。

他方、親告罪ではない犯罪については告訴期間が定められていないため、犯罪そのものが時効になっていなければ、いつでも告訴ができます。

もっとも、時効完成間際の告訴では、事件関係者の記憶が不鮮明・証拠散逸・捜査機関の捜査が間に合わない等の懸念もあり、なるべく早い段階で告訴を行うことが大切といえます。

親告罪の告訴期間は、「犯人を知った日」から計算して6カ月間となります。

この「犯人を知った日」については、犯人が誰であるかを知った日とされています。

被害者等の告訴権者が犯人を知ったと言えるためには、犯人の住所・氏名・生年月日など個人の詳細な情報までは知る必要はありませんが、少なくとも犯人を他の者と区別して指摘できる程度の認識は必要と考えられます。

犯罪継続中に被害者等が犯人を知った場合は、告訴期間は犯罪行為の終了した時点から期間の計算をします。

例えば、インターネット上の名誉毀損罪について、投稿が削除されないまま閲覧可能な状態であれば被害者の名誉を毀損する危険は継続していると考えられるため、犯罪が継続している状況では、たとえ被害者等が犯人を知ったとしても告訴期間の起算日と判断されないケースがあります。

起算日

親告罪にあたる犯罪の被害者等の告訴期間は、犯人を知った日の翌日から起算されます。

※犯罪継続中に犯人を知った場合は犯罪終了後の日まで告訴期間は起算されません

末日

告訴期間(6カ月間)の末日が日曜日や祝日等の休日の場合は、その翌日が告訴期間の末日になります。

被害者等の告訴権者が複数人いる場合、各告訴権者の告訴期間(6カ月間)は別々に進行し、他の者の告訴期間に影響を及ぼしません。

親告罪にあたる犯罪の告訴を行う際は、犯罪そのものの時効とは別に6カ月の告訴期間に注意する必要があります。

特に告訴状を警察等に提出する際は時間がかかることもあり、捜査の実効性を高めるためには早い段階で刑事告訴の手続きを進めることが重要といえます。

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1981年生まれ和歌山県出身の行政書士。京都府警察官を経て京都で行政書士事務所を開設。告訴状や被害届など犯罪被害者のサポートに注力。

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