SNS時代のストーカー被害 〜ネットストーカーと対処法〜

近年、インターネットやSNSの普及に伴い、ストーカー行為の形態も変化してきました。従来のつきまとい行為に加え、ネットストーカーと呼ばれる新たな被害が深刻化しています。本記事では、ストーカー規制法とネットストーカーについて解説します。

ストーカー規制法とは、ストーカー行為を処罰し、被害者の保護を図ることを目的とした法律です。

この法律では、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の者や家族に対する次の行為を規制しています。

  • 「つきまとい等」
  • 「位置情報無承諾取得等」
  • 「ストーカー行為」

「つきまとい等」にあたる主な例

  1. 尾行する
  2. 待ち伏せる
  3. 見張る
  4. 押し掛ける
  5. 付近をうろつく
  6. 行動や服装等をメールや電話で告げる
  7. 監視していることを告げる
  8. 帰宅直後に「おかえりなさい」等と電話する
  9. ネット掲示板にこうした内容を投稿する
  10. 面会や公債、復縁など義務のないことを要求する
  11. 贈り物を受け取るように要求する
  12. 大声を出して「バカヤロー」等と怒鳴る
  13. メールで「コノヤロー」等の粗暴な内容を送信する
  14. 拒否しているにも関わらず、何度も電話・メール・SNSメッセージ・文書等を送り付ける
  15. 無言電話をかける
  16. 汚物や動物の死体等、著しく不快感や嫌悪感を与えるものを自宅や職場等に送り付ける
  17. 誹謗中傷する内容や、わいせつな写真等をメール送信や実際に告げるなどする

「位置情報無承諾取得等」にあたる主な例

  • あなたのスマートフォンを勝手に操作して、位置情報を画面に表示させて盗み見る
  • あなたが使用する車やカバン等にGPS機器等を付ける
  • あなたの車やカバン等に取り付けたGPS機器から位置情報をスマートフォン等で受信する

「ストーカー行為」

特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、上記の「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」を繰り返し行うと、「ストーカー行為」になります。

なお、「つきまとい等」の1~13、14のメールやSNSメッセージ送信等の行為については、身体の安全・住居などの平穏もしくは名誉が害され、または行動の自由が著しく害されるかも知れないといった不安を覚えさせるような方法で行われる場合に限定されています。

警察の警告や禁止命令

「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」の行為が行われ、さらに反復して繰り返されるおそれがある場合、警察や公安委員会は行為者に対して「警告」や「禁止命令」を行うことができます。

罰則

警察の禁止命令に違反して「つきまとい等」や「位置情報無承諾取得等」をした場合

6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金
警察の禁止命令に違反して「ストーカー行為」をした場合

2年以下の懲役または200万円以下の罰金
「ストーカー行為」をした場合

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

ストーカー規制法は、インターネットやSNSの普及に伴い、ネットのストーカー行為への対応も強化されてきました。2012年の改正では、メールの継続的な送信がつきまとい行為に含められ、2016年にはSNSメッセージの継続的な送信も追加されました。

さらに、2021年の改正では、GPSなどの機器を使って無承諾で位置情報を取得する行為も新たに規制対象となりました。このように、ストーカー規制法は時代とともに改正を繰り返し、ストーカーに対する規制が強化されています。

ネットストーカーはインターネットやSNSの匿名性や利便性を悪用し、様々な被害を引き起こします。一度ストーカー行為が開始されると、行動がエスカレートしやすい傾向にあるので注意が必要といえます。

なお、ネットストーカーそのものを規制する法律はなく、前述のストーカー規制法の範囲内で処罰されることになります。

ネットストーカーの手口

ネットストーカーは、以下のような手口で精神的苦痛や恐怖心を与えることがあります。

  • SNSメッセージやメールを使って繰り返し嫌がらせをする
  • SNSで誹謗中傷を含むコメントを繰り返し投稿する
  • アカウントを不正に乗っ取り、個人情報の不正取得や公開をする
  • インターネット上の情報から居場所を特定し待ち伏せをする
  • ストーカーウェアなどの監視アプリを悪用してストーカー行為を行う

ネットストーカー被害への対処法

ネットストーカーの被害に遭った場合、適切な対処が重要です。一人で抱え込まず、専門家に相談しながら対応することも解決への近道となります。

証拠の保存

ネットストーカーの被害に遭った際は、早期に証拠を保存することが重要です。メッセージのスクリーンショットや、書き込み内容のプリントアウトなどを残しておきましょう。これらの証拠は、後に法的措置を取る際に役立ちます。

また、メッセージやSNSの書き込みを削除する前に、必ず証拠を保存しましょう。削除してしまうと、証拠が残らなくなる可能性があります。

ストーカーを挑発しない

ネットストーカーは、被害者からの反応を求めている場合が多いです。そのため、できるだけストーカーの行為には、返信や反応をしないことが重要です。

ストーカーに対し、被害者自身が直接警告や感情的な返信をすると、かえって挑発することになり、ストーカー行為をエスカレートさせてしまう危険もあります。冷静に対応し、被害の拡大防止を最優先に行動する必要があります。

SNSアカウントの削除や設定変更

ネットストーカーから執拗な嫌がらせを受けている場合は、SNSアカウントの削除や設定変更等も検討しましょう。

  • アカウントの削除
  • ブロック機能の利用
  • プライバシー設定の強化

状況に応じて、一時的にアカウントを非公開にするなどの対策も有効です。ただし、アカウントの削除やブロックを行っても、ストーカー行為が止まらない場合は、法的措置を検討する必要があります。

警察や弁護士への相談

すでにストーカー行為が行われている場合は、早期に警察や専門家に相談することが重要です。

警察への相談では、ストーカー規制法に違反していることを確認し、具体的な被害状況を伝えましょう。警察では、状況に応じて加害者への警告や禁止命令、犯罪捜査や逮捕といった対応が可能な場合もあります。

また、弁護士や行政書士などの専門家に相談することで、内容証明による警告や、告訴状を警察に提出して行う刑事告訴のサポートを受けることもできます。

ストーカー規制法の改正により、ネットストーカーを含むストーカー行為への規制が強化されてきました。万が一被害に遭った場合には、一人で抱え込まず、早期に警察や弁護士、行政書士等に相談しましょう。自力では解決が難しい場合でも、専門家のサポートを受けることにより、適切な証拠保存や法的措置を進めることが可能となります。

瀧行政書士事務所はこちら

1981年生まれ和歌山県出身の行政書士。京都府警察官を経て京都で行政書士事務所を開設。告訴状や被害届など犯罪被害者のサポートに注力。

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