【親告罪】警察が動かない! 告訴状で捜査を促す方法と必要書類

犯罪の被害者が警察等の捜査機関に対し、犯罪事実を申告して犯人の処罰を求める手続きを告訴といいます。

犯罪の被害にあった場合、警察に被害の相談をすることが多いと思いますが、一般的には警察側から告訴の手続きを積極的に勧められることは、そう多くありません。

この記事では、告訴の方法から告訴した場合の効果など、告訴手続きの概略を解説しています。告訴をするべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

どのような犯罪であっても被害を受けた被害者の方は警察に告訴をすることができますが、特に親告罪と呼ばれる一定の犯罪では、検察官が犯人の起訴をするために必ず告訴が必要となります。

親告罪となる主な犯罪

犯人を起訴するために告訴が必要となる親告罪の主な犯罪は次のとおりです。

名誉毀損罪
侮辱罪
器物損壊罪
私用文書等毀棄罪
信書開封罪
信書隠匿罪
秘密漏示罪
未成年者誘拐罪
未成年者略取罪
過失傷害罪
リベンジポルノ被害防止法違反

警察に告訴をすると、告訴を受けた警察は速やかに事件に関する書類などを検察に送らなければならず、長期間にわたって警察で事件を眠らせるといったことができなくなります。

つまり、告訴で事件を認知した警察は、何もしないと検察に送るものが無いので、速やかに捜査を進めて証拠などを確保しなければならなくなるのです。

こうした観点から、告訴は警察に迅速な事件捜査を促すといった効果があるので、親告罪に限らず警察がなかなか動いてくれない場合は告訴をするべきケースといえます。

通常、告訴は事件発生場所を管轄する警察署の担当課に事前連絡の上、被害者等が作成した告訴状を提出して行います。

告訴状の記載内容

一般的には告訴状に次の内容を記載します。

  • 提出先(提出する警察署の署長宛て)
  • 提出年月日(告訴状を提出する日付)
  • 告訴人(被害者)の情報
  • 告訴人代理人の情報(代理による告訴の場合)
  • 被告訴人(犯人)の情報
  • 告訴の趣旨(告訴を求める犯罪と処罰意思)
  • 告訴事実(犯罪となる事実)
  • 告訴に至る経緯(告訴までの時系列など)
  • 立証方法(犯罪を裏付ける証拠のタイトル)
  • 添付書類(告訴状に添付する書類のタイトル)

告訴に必要な書類

告訴を行う場合は警察などの捜査機関に次の書類を提出します。

  • 告訴状
  • 証拠資料(証拠などを提出する場合)
  • 委任状(代理人による場合)

警察での告訴状提出で求められやすいもの

警察で告訴状を提出しようとすると次の内容を求められることがあります。

  • 事件の証拠資料
    警察から見て被害者の説明が虚偽ではないことの裏付け
  • 目撃者などの協力者
    客観的な視点からの状況説明
  • 裁判資料
    損害賠償請求など民事事件を平行している場合
  • 発信者情報の開示結果
    インターネット上の投稿等を使用した事件の場合

告訴状の作成や資料の準備には専門的な内容が求められることも多いので、なるべく早い段階で専門家に相談しておくことも大切です。

告訴状を警察に提出すると被害者の生活にも良い効果をもたらす場合があります。

  • いつ犯人に遭遇するか分からない状況で不安な日々を送っていたが、告訴をして警察に動いてもらうことで、安心して生活できるようになった。
  • ネットの投稿で誹謗中傷され際限なく拡散されてしまう危険もあったが、警察への告訴で誹謗中傷がされなくなった。
  • 警察がなかなか動いてくれなくて、いつまでも事件のことで苛まれていたが、告訴をすることで警察から検察へと事件が進んだ。
  • 警察に告訴状を提出することで、精神的にも事件と区切りをつけるきっかけになった。

告訴は犯罪被害者が警察等に対して告訴状を提出する手続きで、捜査を促す有効な手段になります。

また、警察署では必要事項を漏れなく記載した告訴状に加えて証拠の準備を求められることもあります。

この点、警察での手続きが煩雑になる場合もあるので、弁護士や行政書士など専門家に相談して疑問を解消しておくことも有効な対策といえます。

瀧行政書士事務所はこちら

1981年生まれ和歌山県出身の行政書士。京都府警察官を経て京都で行政書士事務所を開設。告訴状や被害届など犯罪被害者のサポートに注力。

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